7/26/2009

idiom, idiom

 症例発表会(abstract competition)に応募しようと思い立ち、昨年診た患者さんのリストを広げて興味深い症例をpick upした。さっそく書き上げて先生に見せると、字数制限が400語なのに200語以下であることが判明した。そこで、"beef up discussion"、考察をもっと強化させよう(ふくらませよう)ということになった。
 病棟の看護師さんと雑談していたら、"it's slow today, knock on wood"、と言っていた。この表現は、木をたたくと魔よけになるというおまじないに由来するそうだが、「このまま何事もなく過ぎますように」というニュアンスで使われるらしい。この場合は、入院がたくさん来たり患者さんが急変したりして忙しくなりませんように、ということだ。

7/23/2009

メリハリ

 当直明けのチームと一緒に回診についてまわり、彼らが帰ったあとに仕事を引き継ぐ業務をしている。毎日ちがう症例に触れられるので新鮮だが、思ったこと感じたことがあっても回診で発表できない。なぜならば、自分の役割は仕事と回診をできるだけはやく終わらせて当直明けの人たちを帰すことにあるからだ。回診を長引かせてはいけない。それには閉口するが、仕事量も少なく早く帰れる仕事だ。
 当直がない生活、忙しくない生活で、仕事が終わってからの時間が多い。運動、読書、料理など楽しいこともたくさんあるが、来年以降を踏まえて調べ物や書き物をしなければならない。集中してそれらの活動をするためには、病院に残って作業したほうが良い場合もある。一時間単位で区切り、メリハリある生活を心がけたい。何かに一生懸命とりんだほうが、そのあと「ああよくやったなあ」と充実感がもてる。

7/16/2009

reference

 先日病院が、全部で1000ページ近くあろうかという文献集(compilation)をドサッとくれた。これで日常診療もevidence basedなものになること請け合いというわけだ。病態理解に関するものも少しあるが、多くは診療ガイドラインや標準的な診断・治療について書かれた論文なので役立てない手はない。さっそく手にとって身近に関連するところから読みはじめた。
 この手の論文は「ああ、分かる分かる」「知っていることが書いてある」となぞるように読み勝ちだ。というのも、疾患の診断・治療ともに何となくなら既に知っているからだ。どうすればキチンと頭に入れてretainしておけるかが課題だ。ある人は、重要なアルゴリズムや数字・表をコピーして持ち歩いている。記憶のため書き写してもよいが、読むのに時間がかかってしまう。
 幾多のclinical scenarioに遭遇し、そのたび参照して診療に実践するのがもっとも鮮明に覚える、と私は思う。だから速読でも何でも、1000ページでも、とにかく読もう。「どこに何が書いてある」かだけでもretainして、チョコチョコ参照するのがよいかと思う。マーカーでunderlineくらいは引こうかとも思う。

7/13/2009

disposition

 神経内科、stroke team(脳梗塞のチーム)で少しの日々を過ごして、wiggle(くねくね動かす)という動詞を学んだ。診察の際に患者さんに手足を動かしてもらうときに使う。レクチャも充実しており、てんかんのレクチャでは、優位側の海馬が視覚からの記憶を、非優位側の海馬は言葉で得た記憶をつかさどるなど興味深いことがたくさんあった。脳血管の解剖、神経解剖学の知識も少しrefreshすることができたし、有意義なローテーションだった。
 脳梗塞の残す障害はさまざまだ。その程度により、まったく症状なく家に帰れる人もいれば、外来リハビリに通院する人もいる。IPR(inpatient rehab、入院のリハビリ施設)で一日3時間のトレーニングを受けに転院してゆく人もいる、いずれは帰宅することが目標だ。日常生活を送ることが困難と判断された場合、SNF(skilled nursing facility、療養型の施設)にいく場合もあり、気管切開を受けて人工呼吸器につながっているなど高度な医療が必要な場合にはLTAC(long-term acute care)に転院する。
 患者さんの家族の心配には一方ならぬものがある。とくに「回復の見込みは」という質問がもっとも多くかつもっとも答えるのが難しい。SNFに転院させるはずが「IPRでもっとリハビリさせろ、そうすればもっと回復するはずだ」と迫る家族もあれば、逆にIPRに転院するはずが「そんなきついリハビリに耐えられるはずがない、SNFでゆっくりさせてあげたい」とお願いする家族もある。
 退院先を決めるのに判断基準となるのはPM&R(physical medicine and rehabilitation)の先生と、一緒に働くリハビリ療法士の皆さんからのinputだ。かれらが、home、home with home care、IPR、SNF、などの中からもっともふさわしい行き先をrecommendする。神経内科の主治医は、この判断を基本的に尊重し、それを覆そうとしたり、独自に判断したりすることはまずない。正直、主治医とリハビリチームのcommunicationは疎である。もっと密であるべきと思う。