3/26/2009

交差交流

 ほめて欲しい、よくやっていると言われたい、共感してほしい、ありがとうと言われたい、という感情は芽生えるといかんともしがたい。これらはチームワークをうまくする上で不可欠だと思える。そうでない状況を経験している。
 看護師(IVチームといって採血だけを担当するプロ)の採血がうまくいかなかったので医師が採血しなければならなかった患者さんがいた。私がすることになったが、部屋に入るなりどうにも態度が悪い。聞けばホームレスの施設を素行不良で追い出されたばかりだという。
 採血する旨説明すると、「さっさと採血してどこかにいけ」という。とはいえ既に看護師が失敗しているうえ静脈も見えにくい。コンサルトした消化器内科の先生がアホみたいに血液検査をオーダーしたせいで必要な採血量は30ml以上ある。
 採血チューブを何本もベッドに並べて静脈を探っていたら、もう我慢できなくなって患者さんがでていけという。これは重要な検査でと説明しても聞かず、しまいにベッドから起き上がりテーブルの上にあったものを放りはじめた。お前にそばによって欲しくない、period!という。
 ナースコールを押して、看護師さんたちが駆けつけた。患者さんは救急外来、病棟でもすでにスタッフに乱暴を働くなど非常に危険な存在であったため、私を励ましてくれた。さて、私の後輩にこんなことがあったら、私ならまず後輩の身を案じて「大変だったね」というと思う。
 それが、私のseniorは何と言ったか。「採血は私たちの義務だ。患者さんはたしかに粗暴なときがあるが、朝に私が見た時には問題なかった。患者さんがあなたを拒否しているなら、担当を別のインターンA君に代える、A君に伝えたらまた連絡する」。
 大丈夫か?の一言もない。seniorは能力はあると思う、経験も豊富だ。でもこんな人についていきたくない。「これをしろ」「あれをしろ」「これはしたのか」「あれはしたのか」ばかり。いまのチームはうまくいっていない。あと数日でこのチームも終わるので、それまでの辛抱だ。

3/22/2009

Efficacy

今月のチームは、どうにもチンタラしている。当直の日には、新入院の患者さんを評価し終わるのが深夜2時~2時半で、それからattending(指導医、診療に責任のある主治医)に電話をかけて一人ひとりの患者さんにつきプレゼンテーションを行う。新入院は最大10人(週末は14人)で、私が担当するのはその約1/3だが、インターン3人が同時にattendingに報告すると、最後の人が終わるのは4時くらいになってしまう。
 最終責任を持つattendingは、翌朝までの方針について知らされていなければならない。ただ、この遅い時間に長々と議論するのはどうかと思う。翌朝にしたのでは遅い、ということは少ない。さらに、翌朝にちゃんと相対して議論したほうが結局情報なども正確で正しい方針が立つことも多い。深夜は重要事項について選択的に議論したい。
 翌朝の回診では、attendingがインターンを1人ずつピックアップしてその患者さんを回診する。そのあいだ他のインターンが別の仕事をできるようにとの配慮なのだが、回診した後でないと方針も決まらず動きにくいことも多い。最後に回診する人は、自分の番がくるまですることがあまりなく、回診したあとは時間が押せ押せで仕事が終わらないことになる。自分以外のインターンが持つ患者についてじっくり知る機会がなく、翌日以降の回診も空疎になる(他の患者さんについての議論について行けないから)。
 今月のattendingはthoroughだ。悪いことではない。ただ話が長い。長々言い切らないと気がすまないのは文化の違いもあるかもしれない。seniorも同じ傾向があるので、回診が長い。臨床上の問題について、自分の意見を言いたくなることもあるが、それを反対されたと感じるのか、こちらの発言の10倍くらい長い答えが返ってくるので最近は控えめにしている。分からないことを聞きたいときには訊くが。

3/15/2009

社会勉強

 外来で診療していると、GED(general educational development)や、halfway houseといった、聞きなれない言葉がでてきた。GEDは日本で言う大検のような資格で、高校を中退した人がGEDの試験をうける予備校に通っていたりする。halfway houseは社会復帰、更生のために入る施設などで、精神疾患などで病院や刑務所に居た人が自宅に帰る前に入るそうだ。社会のいろんな部分について知る機会があり勉強になる。

3/04/2009

忙し山の一合目

 昨日はひさびさにroughな当直だった。誰も急変しなかったが、新入院が切れ目なくあったので休めなかった。だいたい17時、19時、0時、3時に来たので、幸い夕ごはんは食べることができたが。4時ごろからはもう眠くて、気づくと間違ったオーダーを連発していた。それでも5時から7時までなんとか眠り、朝ごはんもたべるとなんとか午前中は働ける。
 なぜ大変だったかの理由のひとつは、今月からの勤務(teaching)が一年目の役割が大きいからだ。 teachingでは、一年目がウンセウンセことを運んでゆくので、スローである。指導医の先生は教えてはくれるが仕事はほとんど分担しない。すべて先輩と一年目でまわさなければならない。だから患者数も相対的にすくなく入院日数も長い(当直の頻度も少ない)が、業務内容は多い。くわえて、医学生の教育や、疾患や治療について勉強して発表したりもしなければならない。
 まあ大変さも相対的なもので、一旦極限に忙しいMICUを体験すればすべては楽チンに思えるようだ。私はどういうわけか一年目の終り(10ヶ月目)にして初めてMICUというスケジュールだが、それもいよいよ来月に迫ってきた。じつは日本でもICUで勤務したことはない(ICUの患者さんを診療したことはあるが、ICU専属で働いたことはない)。どうなることか。