医師の働き方改革が叫ばれて久しく、自分ひとりで解決できない切実な問題を誰かが助けてくれるのは有難いことである。ただ、誰かが助けてくれるときには、その誰かの思惑も当然反映される(win-win)。よい悪いではなく、そういうものである。そうではないのは、親くらいなものであろう。
医師の働き方改革の背景には、医師の偏在がある。そしてこれは、自由主義社会であれば当然おこる現象である。なので自由主義社会の各国は、それぞれのやり方で対応している。アメリカは、外国人医師や診療看護師が自国医師のあまり行かないところではたらくことが多い。韓国は、医学部の定員を2倍にしようとして失敗した。
そしてイギリスは、・・詳しいことは知らないが、先日エコノミスト誌に関連記事が載った(6月13日付)。イギリスには医学部卒業後2年間のfoundation programmeなる過程があって、卒業生たちは全国の指定病院に振り分けられる。それが、以前はsituational judgement testなる試験結果に基づいていたのが、志望に基づいたコンピュータによるランダムな選択になった。
なので、試験のスコアにこだわらなくて済む一方、発表までどこの地域(deaneriesとよぶ)になるか本当にわからない。英国がNHSという国営医療を提供しているからできることだが、医師達のモチベーションをそぐdemoralizingな提案だと批判されている。たしかに、自由主義国らしくない。