4/14/2010

Teaching round

 教育回診で循環器のことを勉強するはずが、英語表現ばかり勉強していて不真面目に思われるかもしれないから、両者とも書いておくことにする。きょうは"I'm tossing you a cream puff"という表現が回診で聞かれたが、これは「君に簡単な質問をあげよう」ということ。シュークリームをふわっと放るというのが原義だ。簡単な質問じゃないのに冗談で言っている場合もあるので要注意だ。"get out of Dodge City"というのは「悪いものを一掃する」という意味で、これはDodge Cityという荒くれ者の巣窟だった西部の街に由来する(同名の街がカンサス州にもあるが)。

 LDLコレステロールが酸化されて、冠動脈血管内皮細胞膜上に接着因子を表出させる。それが単核球を血管内膜に遊走させ、マクロファージとなり、コレステロールを貪食して泡沫状マクロファージになる。そこからさまざまな炎症カスケードがはじまりプラークが肥大し、プラーク表面が薄くなり破裂や潰瘍をつくる。ここでTF(tissue factor)が露出し、傷口と同じように局所的な血小板凝集と凝固系亢進がおこり、一気に血管がつまる。だから心筋梗塞の患者さんの血管をその6か月前に振り返ってみたとしても、そこには重度な狭窄は見られない場合が多い。

 "I shall not today attempt further to define the kinds of material, ... [b]ut I know it when I see it"、とは1964年に連邦最高裁判事がobscenity(わいせつ)の定義に関して言及したもの。「(わいせつが)どんなものかをこれ以上定義しようとはしませんが、見れば分かります」という。Propensityとは「性向、傾向」という意味で、tendensyに近いがよりfancyな言葉だ。ほかにdebauchery(extreme indulgence in sensuality、放蕩)という語など教わってしまった。

 VT(心室頻拍)と、SVT with aberrance(上室頻拍と変向伝導)の違いについて回診で話していた時に、だれもぴたりと答えられず、先生が「みんな、最高裁のわいせつに対するアプローチ(定義できないけれど見ればわかる)なのかい?」とおっしゃった。そのあと、心拍数が早ければVT、QRS morphologyが崩れていればVT、precordial discordanceがあればVT、AV dissociationがあればVT、元のリズムとのsemblance(類似)がなければVT、など有名な文献をもとに大まかな分類を教えてもらった。

4/10/2010

学ぶは楽し

 Get things down patとは「(何かを)完璧に理解する」という意味。ECGでPR間隔が短縮していたら、pre-excitationがあればWPW、なければLGL症候群。前者はHOCM、primum ASD、Ebsteinなどの心奇形を合併していることがままある。Playoff beardとは選手やファンがプレーオフに入るとゲン担ぎでヒゲを伸ばし続けること。主にNHLで見られる慣習だ。Pungentとは「鼻にツンとくる刺激臭」のこと。Putrifactionとは「腐敗」。Repulsiveとは「ひどく不快な、嫌悪すべき」。Repulsive forceは「斥力」。毎日ごちゃごちゃ色んなことが学べる。さらに空いた時間にはICU Bookを読み続けているので、そこからも知識がどんどんついてくる。

4/09/2010

Aortic valvular area

 大動脈弁の開口面積は、大動脈弁狭窄症の重症度を知る指標の一つだが、いままでずっと実際に弁が開いたときの口の面積を測っているのかと思っていたが違った。それがなんと、弁前後の血流速度と、弁前後の圧較差を使って計算される値だったのである。Gorlin(ボストンにいた循環器科医師)の方程式というのがその基礎になる考えで、心エコーはそこから派生した計算式を使って弁口面積を計算している。確かに、重症度はどの程度の心機能障害、血行動態への影響がでているかで図られるべきで、ただ孔の面積を測っても仕方ない。