7/17/2012

Chop, chop

いまのモノ書きプロジェクトは、300語前後のエッセイに内容をまとめるのが目下の課題だ。第一稿を書きあげると、400-500語くらいになる。そこで、ペンの代わりに包丁を手にして(比喩)、不要で冗長な語句を削る。スピーチの時にも"言葉を節約せよ"と言われたものだが、本気でやってこなかった。長ければ長いほど伝わると思っていたのだ。
 しかしブログ記事ともなると、そもそも読者のattention spanがもつ長さでないと読んでもらえない。私自身、他の人の記事で400語を越えてくると、読む気がしない。そのブログで多くの人が読んだトップ記事は200-300語なことにも気づいた。内容を盛り込み過ぎず、分かりやすく、読みやすく、面白く、印象的な結論で締める。これが目標だ。

7/14/2012

いろいろある

"Chance favors the prepared mind"というが、モノ書きのプロジェクトが始まってから色んな面白いことが起こる。先週は、human behavior(ポリネシアの民俗学)を研究して引退した老学者の人と偶然食事する機会があり、「君は本を書くのか?」と聞かれた。本は書かないがブログを書いているというと、「君は本を書くべきだ。human behaviorを研究している私には、君が他の人と違うことがなんとなく分かる」とおっしゃる。そのあとフォーチュンクッキーまで「あなたは思考が明晰で、あなたの視点を他の人に伝え信じさせる力がある」という。
 なんだこれはと驚きつつ、勇気づけられて日々モノ書きしていたら、今度はscience writerの第一人者であるCarl Zimmer氏が講演しに来た。彼は科学モノのベストセラーを何冊も書き、記事をNew York Times、National Geographic、Time、Scientific Americanなどに何本も書く売れっ子作家だ。Science Journalism Awardを受賞した人気ブログも書いている。大学のWriters' Workshop夏期プログラムで教えに来るついでに、私のオフィスのすぐそばで講演するというので行ってみた。
 講演の全ては聴けなかったが、journalistを目指す学生で一杯の会場で、彼があきらかにプロが発するオーラで講演していた。「ネタというのは座って待っていても来ない、探すことだ」というのに共感した。自分が今していることを彼に知らせるのは気が引けたが、何か起こるかもしれないと、思い切って講演終了後に壇上に駆け寄り話しかけた。すると、スケジュールが押していたのでやや面倒くさそうだったが「誰に書いているのかを配慮せよ、それに応じて書き方を大きく変えることが重要だ」と一言アドバイスしてくれた。

7/07/2012

Effective Professional Written Communication

 今年の目標の一つは学んだことを質を高めて発表することだが、いまそのプロジェクトが着々と進行している。それにしても、professional writingというのは今まで学んできた英語と違う領域で、学ぶことがたくさんある。ただ書けばいいというものではないのだ。

 たとえばカルテで、私はeditorial commentを挿入していたことに気づかされた。患者さんがよくなって嬉しいとか、患者さんが良くならないのはこのせいだ、あれが悪い、などという自分の価値判断に基づく評価のことだ。これは必要ない。何よりカルテはmedico-LEGAL documentなのだし、何年後に誰がどんな視点で読むか分かったものではないのだ。

 あるいは編集者の方へのメールで、私は「僕、こんなに頑張って書いたから読んで!」と書いていることに気づかされた。これは、甘い。大事なのは書いたものの内容で、それが編集者からみて発表するに値すると信じる理由と、発表するに値するかをプロの目で判断してほしいとお願いするという点に尽きる。

 実際の記事についても、「僕、こんなに一生懸命勉強したよ!」と書いていることに気づかされた。これまた、甘い。大事なのは読者を惹きつけること(engage the readers)、途中で退屈しないように内容を順序立てて整理すること(make it flow)、それに読者が読んで為になるように結論をはっきりさせることだ。

 このように文章の目的をはっきりさせて、一語一句に効果的な意味を持たせるような書き方を学ぶことは、将来にとってとても有益だという予感がする。これを教えてくれている先生が、なんと英語が母国語でないことにも驚嘆するが、逆にいえば自分にも出来るかもしれないということだ。