11/26/2009

Say it better

 教育回診で特徴的なことは、先生の質問に誰かが正解を言わなかったときにも「それは違う」と絶対に言わないことだ。"If I understand you correctly"、というフレーズが非常によく使われる。そして、回答者の説を敷衍して、それがどう間違えているかを回答者自身に気付かせる。当たらずとも遠からずという時には"Say it better"、とか"You are warm"、とかいう。自分がいつか教育回診するときに役立てたい。

11/21/2009

Boring

 仕事が退屈で、少し困っている。CCUは14床で他の集中治療室に比べて小さい。もっとも多いのは心筋梗塞後のフォローで、大きな梗塞をもった患者さんでも標準的な治療によってたいていすぐに回復して一般病棟へ出ていく。また看護師さんが仕事慣れしているため、ほとんどの業務をしてくれる。当直はそれなりに忙しいが、他の日は患者さんがどんどん転出していくし、暇だ。

11/17/2009

therapy dog

 当直中、病棟にボランティアのセラピードッグがやって来た。大きなチョコラブで、飼い主の女性についてのそのそ歩いていた。私のところにも寄ってきてくれたので少し首回りや背中を撫でた。私も大変に癒されたので、身動きすら不自由な患者さんならなおさらだろう。

11/07/2009

The MI that ate Chicago

 いま教わっている先生はgreat teacherだ。この先生と一緒に心電図と胸部レントゲン写真を検分すると、たとえ患者さんの情報がほかに何もなくても心臓と肺に起こっていることはだいたい察しが付いてしまう。教えてくれる内容も重要な概念ばかりで、仔細にこだわりすぎないのがよい。
 この先生は話す英語も洗練されており、独自のユーモアセンスがある。こないだは心電図が広汎な心筋梗塞(myocardial infarction, MI)を示していた時に"This is the MI that ate Chicago"と言っていた。後で調べると60年代の曲で"The eggplant that ate Chicago"という曲があることがわかった。

Thin red line

 CCU(循環器の集中治療室)では、患者さんが日常的に亡くなる。もともと重症だから、うまくいかなくても仕方ないと言い易い。でも本当にベストを尽くしたのか、といつでも自分に問いかける。診断は正しかったか、治療は正しかったか、判断は正しかったか。生死の境が狭い領域では、判断ひとつ、チーム医療の鎖ひとつが途切れてもうまくいかない。

 今日も患者さんが亡くなった。朝は元気だった患者さんだった。すべてが終わった後で、こうすればよかったのにと思った。思っただけじゃだめだ。行動につなげなければ。帰りのクルマの中で、Stevie Wonderの"Heaven Help Us All"が聞こえてきた。ゴスペル調の曲を聴きながら、ああ患者さんは今頃天国にいるのかなあ、とふと感じた。