1/01/2025

Immune Atlas of T Cells

  CD4+T細胞をTh1、Th2に分類したのはロチェスター大学のMosmannらで、1986年のことだった。Th1はIFNγやIL-12によって誘導され、STAT1転写因子によってT-betを発現する。そして主にIFNγを産生し、pro-inflammatoryだ。Th2はIL-4などによって誘導され、GATA3などの転写因子が活性化している。IL-4やIL-13を産生し、TNF-αやIFN-γに拮抗する。ただ、Th2サイトカインはB細胞を形質細胞に分化させる働きもあり、必ず移植臓器保護なわけではない(腎移植において、Th1/Th2浸潤細胞比が低いほどplasma cell-rich rejectionが多かったという報告もある、Blood 1993 82 2781)。

 Th1とTh2以外で初めて見つかったTh17(2005年)は、pro-inflammatoryだ。誘導にはIL-23が必須で、RORγtなどの転写因子が活性化している。主にIL-17を産生し(IL-17AからIL-17Fまである)、炎症や拒絶に関係する。

 番号の付いたCD4+T細胞のサブセットは、ほかにTh9とTh22がある。それぞれIL-9とIL-22などを産生するが、役割はコンセンサスを得ていない。

 番号はついていないが重要なサブセットに、TfhとTregがある。

 Tfhは胚中心でのB細胞成熟に決定的に重要だ。CXCR5を発現し、これによって濾胞のCXCL13と結合して局在することができる。ICOS、PD1、IL-21などを介してB細胞を胚中心に残すか形質細胞にして出すかを決める。腎移植で言えば、DSAの産生に欠かせない。

 Tregは2003年に発見され、CD4+CD25+(IL-2Rα※)で、マスター転写因子はFOXP3だ。炎症抑制・免疫寛容に働く(TGF-β、IL-10、IL-35などの抗炎症サイトカイン、granzymeによる細胞傷害、APC活性化の抑制、CD39による細胞外ATPの加水分解、IL-2の消費など)。

 ※IL-2Rはα、β、γがあるが、αが加わるとIL-2の親和性が何千倍も向上する。

 おまけに、Tfr、CD8+Treg、γδT、NKT(natural killer T-cells)、ILC(innate lymphoid cells)などがある。面白いのはγδTで、TCRがγとδサブユニットで作られている変わり者なのだが、サブセットのひとつであるVδ2neg γδT細胞は、末梢組織でウイルスを監視する。そして、CMVなどの感染時に急速に増殖する(J Infect Dis 1999 179 1)が、なかにはIL-17などを産生するものもあるため(Transplant Int 2014 27 399)、「ウイルス感染を契機に拒絶」の機序の一つかもしれない。

 参考文献:AJT 2023 107 2341、Nat Rev Drug Disc 2014 13 379