2/07/2020

仕事終わりの空に

 仕事を終えて病院から出ると、外は何も変わらず、「ああ、院内でいろいろあったけど、一歩出ると平和だなあ」と不思議な気持ちになる。

 さらにこないだは、西の空に金星と三日月がセットで見えた。翌日も見えたが、月はより高い位置にいた。その翌日は、もっと高い位置に。金星と月は、どんどん離れていった。




 そして、その後も夕方の空を見ていると、じつは金星も少しずつ昇っていた!

 金星と地球は、2019年8月14日に外合(太陽を挟んで地球と向かい合う、superior conjunction)し、2020年3月25日に東方最大離角(太陽から最も離れて見える、greatest eastern elongation)となり、6月4日に内合(太陽と地球の間にくる、inferior conjunction)する。



 
 外合から内合までの期間、金星は夕方に見える。地球は365.25日、火星は224.7日でそれぞれ太陽のまわりを公転しており、会合周期は583.9日だ。

 また、お互いインコースとアウトコースを違う速さで運行するため、お互いに追い越したり追い越されたりする。その際、地球から見ると、運行が順行(prograde)→逆行(retrograde)→順行となる。今年の逆行は5月13日から6月25日までで、切り替わる時に運行が止まって見えることを、留(stationary)という。
 
 こういった話を、新聞やテレビでやらないのは、不思議だ。地球に住んでいるという自覚が生まれる(金星が炭酸ガスによる暴走温室効果で過熱していることも、思い出すだろう)し、自分が抱えている問題が小さなことに思える効果もある。

 もっと「太陽系ニュース」みたいなのが身近になればいいのにと思った。

 ともかく、これから数ヶ月、金星の待つ夜空を楽しみに仕事ができそうだ。