5/24/2008

Long-term care

 介護をどのように財政的にまかなうかについて、先日の医学雑誌で論じられていた。全米で1000万人が、基本的な生活動作に不自由があるという。米国も高齢化しつつあり、この数字は当然ふえる。多くの場合は家族がケアをしていて、そのための保険に入っているのはごく一部である。公的負担にするのか、私的負担にするのか。医療保険のなかで一本化するのか、別建てにするのかなどを検討せねばならない。
 Bruce Vladeckが1980年に《Unloving Care》という本を書いて、介護を要する人々が米国で見てみぬ振りをされていると訴えた。あれから状況は悲しいけれど変わっていないという。今年の大統領候補者たちも、医療について言及していても介護については建設的提言をしていないと指摘し、誰が大統領になったとしても、とにかく今が検討すべきときだという。

5/23/2008

Employee Health

 就労前検査を受けた。薬物依存でない証明に尿検査をして、アルコール依存でない証明に呼気検査があった。尿検査などは水で薄めたり出来ないように厳重な手順で行われた。すなわち、採尿室に入って採尿したら、手も洗わずトイレも流さずに部屋から出て検体を渡さねばならない。
 ほかに結核排菌患者と接するときに必要なマスクがフィットするかの検査や、色盲検査があった。感染症(肝炎ウイルスや麻疹など)の抗体価などは、以前に米国医学部で臨床研修をしたときに日本の大学で作ってもらった書類がそのまま使えた。無事、就労できそうでよかった。

来たからには

 病棟で回診を見学しながら、たくさんメモを取った。英語に暴露されて、口語表現をたくさん習った。米国ドラマを英語字幕でひたすら聴くのも、同じような効用がありそうだ。それらを理解し使えるようになれば、会話がだんだんとsmoothになってゆくだろう。ちょっと英語に触れただけで(新聞記事を1個とか、ドラマを1話とか)、ごっそり語彙と表現を学ぶことが出来る。その積み重ねだ。
 そのあとに、本題の医学知識がくる。英語ができなきゃ、面白くない。心不全、不整脈、高血圧、冠動脈疾患と、とにかく循環器疾患が多い印象で、各種薬剤に精通せねばならない。もっとも、内科医なのだから薬の使い方を知っていてナンボである。要求される知識は日本で学んだものと重なっていないものが多く(私は内科のなかの各科をローテートした訳でないので)、米国の医師免許や内科認定医の試験対策を平行すると良いかもしれない。

5/17/2008

オーダー

 病院で見学をしている。オーダーがほとんどすべて電子化されている。完全に電子化なので、日本のように「オーダーしました」とカルテに記入し、そのページに札をたて、オーダー置き場に置く、ないし、看護師さんに伝える、という手間がない。STAT(臨時、急ぎ)の指示でも看護師さんがパソコンを見ているので支障はないようだ。
 点滴に何をどのように混ぜ、どのルートから何時にどれくらいの速さでおとすか。日本の病棟では1から組まなければならないから大変で、どこかひとつを変えるために最初からやりなおすこともしばしばある。こちらでは、セットになっている。「8時間ごと」と指定すれば、病棟でうまいことはじめてくれる。
 病院内の電話帳をもらったが、各部署、研修医のpager(ポケットベル)番号のみならず、周辺にある医療機関の電話番号が書いてあり有益に思えた。あまり「日本では」「アメリカでは」といいすぎると「出羽の守」と揶揄されそうだが。