3/02/2013

病歴聴取、カルテ、プレゼン

 いま教えている学生さん達とのセッションも三回が過ぎ(全六回)、みんな型どおりに病歴を取りカルテを書きプレゼンできるようにはなった。臨床実習前でここまでできるのだから大したものだ。これからの三回は、その質をできるだけ高めるよう力を尽くしたい。とはいっても時間に限りがあるので、病歴聴取、カルテ、プレゼンそれぞれから最も重要と思う課題を一つずつ選ぶことにした。

 病歴聴取の課題は、現病歴をしっかり聴くこと。現病歴までで患者さんに何が起きているかだいたい分かるのが理想だ。効果的と思う二つのアドバイスは、①発症前から来院までの様子を抜けなく把握する、②「なぜ患者さんはこんなことになっているの?」と考えそれを解くために質問を続ける、だ。これらを強調するために、医療面接のあいだ学生の横についてこの二点に基づいた補助的な質問をした。

 カルテ(H and P)の課題は、アセスメント。アセスメントとは明確な問いかけに答えようと試みる過程であるべきだ。問いかけとは、「何が起きているのか?」「どうして起きたのか?」「いま何ができるか?」などだ。私は、プレゼンやレクチャ、学会発表などではこれらの質問を明示することすらある(カルテには書かないが)。ただ考えているのではない、ただ知っていることを書くのでもない、アセスメントには目的があるのだ。

 プレゼンの課題は、読まないこと。カルテ(あるいは自分で作ってきたカンペ)を読む学生に「読まないで、私達に話しかけて」というと、プレゼンが劇的に変化した。話すことで相手に伝えることを意識するので、トーンがゆっくりになり、アイコンタクトがうまれ、情報も取捨選択され、言葉も平易になる。立て板に水で情報を詰め込めばよいのではない、カルテとプレゼンでは求められるスキルが違うのだと学生達に自然に理解させることができた。