5/12/2020

橋の大切さ

 患者さんに病状説明するときに「録音していいですか?」と言われて気を悪くする医師はまずいないだろう。専門的な話を一度で理解する(さらに、それを他の家族などに伝える)のは難しい。逆に「録音はしないでください!」といえば、やましいことがあると勘ぐられても仕方ない。

 では、患者さんに「録音していいですか?」と言われずに録音されていたとしたら、どうだろうか。医師は戸惑うだろう。先ほどとは逆に、「相手側にやましいことや悪意があるのではないか?」と勘ぐってしまうかもしれない。

 しかし、ちょっと待ってほしい。

 自らに「日頃から録音されてまずいような診療をしているか?」と問い直してみよう。そして「そんなことはない!」と信じているなら、堂々としていればいい。そもそもカルテだって患者さんのもので、誰にいつ読まれてもよいつもりで書かなければならない。

 診察や病状説明だって、同じことだ。

 さらに、疑心暗鬼を超越すると、相手を理解しようという気持ちが生まれる。「録音していいですか?」と言えない人は、そうさせる何かがあったのかもしれない。相手を信じられないほど、心配で心配でたまらないのかもしれない。怖いのかもしれない。


 人間関係には、そのように橋をかける気持ちが大切だと思う。