指導医をさせてもらうようになってまだ日は浅いが、その経験から有効と確信に至った(と敢えて強く言いたい)指導方法の一つが、学習者の机を片付けることだ。こんなことは指導医講習会にいっても教えてくれなかったし、いまの教育理論はいずれも学習者主体だ。「母親みたい」と思う人もいるだろう。
しかし、時にはブルドーザーのように古い慣習を変えることが必要な状況があると、私は思う。たまった書類のうちで不要なものを捨て、必要なものを然るべきところにファイリングすることは、頭の中を整理することにつながる。読む本を目に付く前に、読まない本を後ろに置けば、学習の助けになる。
とかいう自分の机はどうか?私は坪田一男先生が書いた本『理系人間のための人生戦略』(2000年)を読んでから、机の前に彼の言うポジティブな『セカンドシグナル』を置いている。たとえば、家族の写真、賞牌、初期研修の同期全員がメッセージを絵付けしてくれた陶皿、それから誰がいったか知らないがこの引用句。
Watch your thoughts; they become words.
Watch your words; they become actions.
Watch your actions; they become habits.
Watch your habits; they become character.
Watch your character; it becomes your destiny.