中島みゆきは『銀の龍の背に乗って』(2003年)で「柔らかな皮膚しかない理由(わけ)は人が人の痛みを聴くためだ」と歌った。私にとって忘れられない一言は、「人の痛みには3年でも耐えられる」だ。医学部一年生のときに医療現場にいきなり曝露させる(そこで主に介助を担当する)プログラムがあって、そこで看護師さんが仰っていた気がする。
あれから何年にもなるが、ERで主訴が痛みなのに血液検査結果を待つ患者さんに鎮痛薬が処方されなかったり、病棟で朝に痛みを訴えた患者さんに「お薬をだしておきましょうね」と言ったきりオーダーしなかったり、痛みが(もちろん不本意だろうが結果的に)放置されていることをよく目にするので、この言葉を今でも思い出し続け、教え続けている。