11/18/2015

Going the extra mile

 腰痛と「Mタンパク(とだけ書いてある)」と貧血と進行する腎障害がある症例が紹介されてきたら、骨髄腫を疑って一刻も早く異常タンパクを減少させたい(高Ca血症や体液減少や敗血症などがあればそれも治療しなければならないが)。骨髄腫における腎障害はmedical emergencyなんて書いてる論文もあるが(Bone Marrow Transplantation 2011 46 771)、各種検査が外注で時間のかかる市中病院ではけっこう間延びする。とりあえずその「Mタンパク」とやらの詳細な情報を前医に取り寄せたいが、研修医が問い合わせて送ってもらったFAXには「検出」としか書いてない。で、そこで止まっている。うちでSIFEを出しなおしているが、結果が出るのに一週間はかかる。あーもう見てられない、と私が前医に電話したらあっさり教えてくれた。
 つぎは骨髄穿刺/生検だが、これもやったはいいが外注のレポートが来るまでには時間がかかる。そんなに待ってられないなー、スメアのGM染色を自分で見れば形質細胞くらいわかるんじゃない?というわけで午後3時にした骨髄穿刺/生検のスメアがGM染色されているか午後4時に検査室に電話したら明日やる予定だという。「今日染めたら残業になりますか?」と聞いたら「いや五分くらいで染まるし大丈夫ですよ」というのでお願いして、例のすごい検査室の方にざーっと全視野をスキャンしてもらい形質細胞を確認できた(細胞数カウントまではしないけど)。
 ここまでで、入院して24時間。腎生検の予定も組んだ。私ならこの時点で少なくともbortezomibくらいは始めてしまうが、まあそれはこの間不在だった血液内科医の先生が来られて考えられることだ。私は血液内科医でもないし、そもそもこの症例は私のチームではないのだけど、やっぱり腎臓と患者さんを助けたいし、こういうふうに詰めの甘いところを詰めたりいまできることから行動したりするとやりがいを感じる。どうしたらこういう積極的な働き方というか態度を教えられるか考えている。