11/21/2015

Gush of Blood

 長期臥床ICU患者が突然に大量新鮮下血してショックになったら、輸液でも輸血でも昇圧剤でも放り込んでとにかく蘇生するのはもちろんだが、一刻も早く出血を止めなければならない。ここでただ消化器内科医を呼んだのでは甘い。たしかに激しい上部消化管出血が下から鮮血ででてくることはあるけど、患者さんの病歴と経過を知る者としてはこの出血が直腸潰瘍によるものと確信されるのだから(経鼻胃管から何も引けないし)、型どおりに上部内視鏡をして直腸からダバダバ何リットルでも出血するにまかせるのではなく、「直腸潰瘍ですから上部ではなく一刻も早く下部内視鏡をして止めてください」と説得しなければいけない。もし嫌だといわれたらIVRに掛け合うか、あるいは直腸に挿入して圧迫止血するチクワ状のSPONGOSTAN®を使うか(8cmしかないから届かないかもしれないけど)して、とにかく即刻出血を止めて失血を防がないといけない。ICUは全身管理が勉強になるのも一面だけど、やっぱりこういうひとつの判断で予後が大きく変わるような緊急事態にたくさん遭遇して即応判断力をつけることも大切だなと思う。