6/20/2019

忘れられない一言 59

 先日ソウルで開催された韓国腎臓学会で、隣で朝食を食べている腎臓内科の教授とざっくばらんに話をした。その日は日曜日であったが、彼はこんな話をしてくれた。

5 years ago when I went to see patients on Sunday they said "oh you came on Sunday".  Now when I see patients on Monday they say "oh you didn't come on Sunday".
(5年前、日曜診察に行くと患者は「え、先生、日曜に来てくれたんですか」と言った。今は、月曜診察に行くと患者は「あれ、先生、日曜に来てくれませんでしたね」と言う。)

 それを聴いた筆者は、休みの前日患者に「明日は休みなので来ません、休み明けにお会いしましょうね」と率直に伝えていると話した。

 というか、安定している患者には「外出されて結構ですからね」と伝え、おうちで過ごしたければそうしてもらうこともある。休日はよほどの事情がなければ検査はいれないし、点滴なども朝晩にすれば日中は移動できる。

 逆に、不安定な患者であった場合には、「別の先生に診察をお願いしてあります。科内では毎日あなたの病状を話し合っており、みんながあなたの病状を共有していますので心配なさらないでくださいね」と伝える。

 患者に患者以外の役割があるように、医師にも医師以外の役割がある(写真は、筆者が学会ついでにのんびりしたYongsan Mall I'PARK)。それを犠牲にして長く続けるのはとても難しいし、限界を越えれば心身をこわしてしまう。患者だって、ベストコンディションの医師に診療されることを望んでいるはずだ(訳書『医のアート ヒーラーへのアドバイス』の9章「汝自身を癒せ」も参照)。

 「来てくれなかった」「来なかったといわれた」という感情は、お互いの期待がくいちがっているから起こる。期待を揃えるためのコミュニケーションが不可欠だ。筆者が話したあと、教授は「アメリカン・スタイルだね」と言ったが、筆者は「リーズナブル・スタイル」と思っている。