しかし、患者さんが持参する結果表には、ほかの異常が記載されていることもある。たとえば、コレステロール値などだ。こうした場合には、そのリスクを説明したうえで、生活改善・投薬治療などを一般内科で受けられることをお伝えする。
以前、そんな説明をしていたら、患者さんが「サプリを飲みはじめたところなので、次回の健診でも高かったら受診も考えます」と仰った。それじたいは、珍しいことではない。ただ、そのあとのこんな一言が、心に残った。
コレステロールを下げる薬なんて、ないんだと思ってました。
これは、まずいと思った。患者さんがではなく、医療者がである。コレステロールほど治療薬の種類が充実して、効果も確立している疾患もないことは、医療者には明らかでも、社会の隅々までは伝わっていないということだ。
テレビや新聞で「(この製品で)コレステロールを下げる効果が確認されました!」と宣伝された際には、「薬ならもっと下がります」とは宣伝されない(もちろん、細かい字では明記されているはずだが)。
患者さんにお話したところ、「サプリは高いし、病院の薬でなおせるならそのほうがよいです」と安心された。ただ、せっかく買ったサプリはもったいないので、飲みきってからにすることになった。
(マザーグースより) |