先週はEurovision Song Contest(ESC)決勝がバーゼルで行われ、(プロパガンダとしてコンテストに力を入れる)イスラエルの代表Yuval Raphaelを抑えて(クラシックの歌手としても活躍する)オーストリア代表JJが優勝した。サウナのすばらしさを歌うスウェーデン代表KAJや、マキアートへの愛を歌うエストニア代表Tommy Cashも話題になった。また、英語で歌う国が多い中、フランス・スイス・ルクセンブルグはフランス語で歌った(オランダもフランス語と英語のミックスだった)。
母の日が近かったせいか、普遍的なテーマだからかは分からないが、母が関係する曲が多かった。フランスのLouaneは"Maman"、オランダのClaudeが歌う"C'est la vie"は「母さんが言っていた・・」で始まり、ノルウェイのKyle Alessandroは闘病する母からもらったメッセージを歌にした"Lighter(命を燃やせ、の意味)"、そしてギリシャのKlavdiaは祖国と難民・移民を母と娘に例えた"Asteromata"。
ヨーロッパと母と言えば、モーツァルトのピアノソナタ8番(K310)。彼の母がパリで突然病に倒れ急死したころに書かれた曲である。珍しく短調(A minor)で始まる第一楽章は、モーツァルトのピアノソナタのなかで最も素晴らしいという人も多いようだが、作曲の経緯を知ると、彼のものすごい動揺と苦しみが込められているようにも感じられる。