急性期病院にいれば必ずついてまわるのが、転院調整だ。しかし医師としては、ご家族とご本人にお話し、転院受け入れをお願いする手紙を書いたら(こちらも参照)、そこから先は調整を待つことになる。
そのために(名前は違っても)どの病院にもあるであろう「退院支援チーム」は、なんとかしてくれる心強い存在なのであるが、きょうはこの「何とかする」に関連する英語表現について紹介したい。
それは、"move heaven and earth"である。たいていは仮定法で「~するためなら何でもする(would move heaven and earth to do ...)」と用いられる。
2017年ディズニー映画『リメンバー・ミー(英題:Coco)』でエルネストがヘクターをだまして毒を盛った杯で乾杯するときに"I would move heaven and earth for you, mi amigo(アミーゴのためなら天も地も動かす)"を思い出される方もいるだろう。
あるいは、80年代ポップがお好きな方なら、英国歌手リック・アストリーの"Together Forever"(1987年)に出てくる"Don't you know I would move heaven and earth to be together forever with you"を思い出すかもしれない。
しかし「天も地も」なんて、すこし古臭いというか、芝居がかかっている気がする。それで由来を調べると、旧約聖書で万軍の主が"In a little while I will once more shake the heavens and the earth, the sea and the dry land"と言ったことになっていた(ハガイ書2章7節)。
筆者はまだ「1日もはやく退院を!」という立場にはないのだが、患者さんや家族のたっての希望がある場合には、「天も地も動かしてなんとかしてください!」と言いたくなるかもしれない。まあ、その際には自分で連絡するだろうが。
映画『天と地と』(1990年) |