母音の初段階は、aiueoを「ア・イ・ウ・エ・オ」と読むローマ字を越えること。ローマ字は短母音でしかなく、それと別に長母音の「エイ・アイ・ユー・イー・オウ」がある。これを理解しただけでも、tomatoが「トメイトウ」と、ぐっと英語っぽくなる(ただし、最初の「o」は短母音)。
なお、長母音と短母音に関しては「final silent e」をぜひ知っておきたい。pineをローマ字で読むと「ピネ」で、長母音でよむと「パイニー」になるが、ご存じの通りこの語は「パイン」と読む(松を意味する)。
つまり、最後のeは、発音されない。さらに、final silent eには、その前の母音を長母音にする働きがある。先ほどの例では、eがあることでpiが「パイ」になる。eを取ってしまうと、pinとなり、「ピン」となる(ピンの意味)。
なお、「y」も「i」と同じように発音されるため、母音扱いしてよいだろう(ちなみにフランス語では、yのことを「ギリシャのi(i grec)」と言う)。
さらに、先ほどの子音と同様に、母音にもblendとdigraphがある。blendは、quietを「ク(qu)」「アイ(i)」「エット(et)」と読むように、連続するだけである。
digraphは、seaのように、eaで「イー」と読むようなものだ。さらに、正確にはtrigraphと言うのだろうが、aiueoに「l」「r」「gh」「w」を加えたものもある。highのighを「アイ」と読み、ballの「al」を「オー」と読むようなものだ。
blend・diagraph・trigraphの例をアイウエオ順に挙げると:
・アで始まるもの
アー(ar、are、er、ir、or、ur)、アイ(igh、ey)、アウ(ou、ow)、アウア(our)
・イで始まるもの
イー(ea、ey、ie、ee)、イア(ear、eer)
・ウで始まるもの
ウ(oo)、ウー(oo、ew、ue、ou、ui)、ウーア(oor)
・エで始まるもの
エ(ea)、エア(air、are)、エイ(ay、ai、aigh、eigh、ey)
・オで始まるもの
オー(au、aw、oa、oe、or、our)、オーア(oar、oor)、オイ(oy、oi)、オウ(ow、ough)
これらを押さえると、たいていの単語は発音できるようになってしまうのが、フォニックスの凄いところである。日本にいると英会話教室でしか教えてもらえない「秘技」のような扱いの印象も受けるが、何のことはない、ネイティブは学校などでこうやって英語を学ぶと聞く。もっと広まればと記載した次第である。
なお、文章になってもほぼ同じで、追加で知っておくべきはリエゾンくらいだろう。
リエゾンは日本語にもなっているから「つなげる」という意味なことは多くの人が知っているだろう。フランス語で有名だが(liaisonも元はフランス語である)、英語・韓国語など他言語にもある。
たとえば、I like yellowと言う時、likeの「k」とyellowの「y」がつながって「ky(キ)」になるので、「アイライキエロー」と聞こえる。復習になるが、likeの「e」はfinal silent eだから発音されず、前のiが「アイ」と発音されている。