5/31/2009

振り返り

 先月は、1年目最後の病棟業務(ICUを除く)だった。慣れたのか、さすがに働きやすかった。プレゼンテーションも、いままでは情報収集したものの処理がいまいちだったのが、今月はアセスメントやプランまで割と自信をもって言及できるようになった。そして問題点やアセスメントが明確だと、不思議とデータも簡単に暗記できるようになる。今月はそういう変化があった。
 なによりありがたかったのは、teachingというだけあって単に仕事をするのではなく病態生理について勉強できたことだ。腎臓内科、内分泌内科の先生がattendingだったせいもあるかもしれない。分からないことを沢山質問したらアホに見えたが、その分得られたものは多かった。聞くは一時の恥。たとえば肝硬変の患者さんになぜ腹水が貯まるのか、といった基本的な問い(いままで立ち止まって考えることのなかった問い)が深く理解できたり、非常に有益だった。
 いまMICUにいると、急場を救うのに精一杯で座って落ち着いて「はたして何が起きているのか」と考えるヒマがない。したがって、最もクリティカルな問題については多少の議論もあるが、おおむねアルゴリズムに従ってポンポンポン、と行う診療になっている。そして超急性期を脱したらすぐに転棟してゆく。やりがいがあると感じる人と、そうでない人と、両方あるだろう。

5/28/2009

Punjab

 同僚に、インドのPunjab州出身の人は多い。いま一緒に働いている研修医も、こちらに来る前は州都のChandigarhの病院にいたという。当直中callがなくてヒマなときに話題になったので、せっかくだからパソコンで調べてみた。
 Punjab州はインダス川の支流(tributaries)が流れる地域にあり、西側の大部分がパキスタン、東側がインドに分割(partition)された。Chandigarhはインドでは唯一の区画が幾何学的なurban cityで、ル・コルビュジェなども都市計画に参加したそうだ。
 この人の実家は農業をしており、それに付随して緑の革命(インドが飢饉、食糧危機を品種改良や農地改革で乗り切った一大事業)というのも学んだ。何事も、知ろうと思ったら事物の名前をメモしておかなければならない。
 Sikhism(シーク教、Punjab地方の宗教)についてももう少し知りたい。この宗教がつける独特の名前があって、Singh、Kaurなどがそうだ。これが英語表記でfamily nameになってしまっている人も多く、たくさんのDr. SinghやDr. Kaurがいる。

5/21/2009

attorney

 当直中に他チームの患者さんの家族に病状説明をすることはよくある。家族は夕方に訪問するし、それまでには本来の診療チームは帰っているから仕方ない。カルテを見ながら分かる範囲で説明するが、分からないことは、分からないとはっきり伝える。相手もそれで理解してくれる。
 先日はattorneyの家族と話をしたが、まるで法廷の証人尋問に立たされているような気分だった。自分の説を主張する能力において最も秀でた人種、その意味でアメリカで最も繁栄できる人種だ。たとえ医学知識があっても、彼を説き伏せることは無理。こちらも弁護人を雇うしかないだろう。
 さてこの人が、その時にramificationという言葉を頻用していた。ramiは解剖学用語で「枝、(血管などの)分枝」という意味があるから「帰結、その結果おこること」という意味だろうと類推したが後日調べたら当たっていた。どちらかというと悪い影響、というニュアンスがあるようだ。

5/06/2009

perked up!

 当直明けの朝に回診していたら、患者さんの様子について看護師さんが
 
 "He is perked up this morning."
 
 と言った。意味がわからず聞き返したら、

 "He is more awake."

 と言い直してくれた。せっかくなのでperkのつづりを確認して、帰宅してから辞書で調べたらなんと「(耳・尾などが)ピンと立つ」、転じて「元気よくふるまう」「《略式》元気を取りもどす」の意味だった。耳がピンと立つなんて、超好みな言葉に出会えたことがたまらなくうれしかった。
 perkという語は「役得(特典)」という意味もあって、しばしば広告などで用いられるから知っているのだが、これについても新しい事実がわかった。perquisiteという語の略だった。それこそperked upという語を知ったことがperk(=perquisite)だな、なんて巧いことを思いつきにんまり。