7/13/2009

disposition

 神経内科、stroke team(脳梗塞のチーム)で少しの日々を過ごして、wiggle(くねくね動かす)という動詞を学んだ。診察の際に患者さんに手足を動かしてもらうときに使う。レクチャも充実しており、てんかんのレクチャでは、優位側の海馬が視覚からの記憶を、非優位側の海馬は言葉で得た記憶をつかさどるなど興味深いことがたくさんあった。脳血管の解剖、神経解剖学の知識も少しrefreshすることができたし、有意義なローテーションだった。
 脳梗塞の残す障害はさまざまだ。その程度により、まったく症状なく家に帰れる人もいれば、外来リハビリに通院する人もいる。IPR(inpatient rehab、入院のリハビリ施設)で一日3時間のトレーニングを受けに転院してゆく人もいる、いずれは帰宅することが目標だ。日常生活を送ることが困難と判断された場合、SNF(skilled nursing facility、療養型の施設)にいく場合もあり、気管切開を受けて人工呼吸器につながっているなど高度な医療が必要な場合にはLTAC(long-term acute care)に転院する。
 患者さんの家族の心配には一方ならぬものがある。とくに「回復の見込みは」という質問がもっとも多くかつもっとも答えるのが難しい。SNFに転院させるはずが「IPRでもっとリハビリさせろ、そうすればもっと回復するはずだ」と迫る家族もあれば、逆にIPRに転院するはずが「そんなきついリハビリに耐えられるはずがない、SNFでゆっくりさせてあげたい」とお願いする家族もある。
 退院先を決めるのに判断基準となるのはPM&R(physical medicine and rehabilitation)の先生と、一緒に働くリハビリ療法士の皆さんからのinputだ。かれらが、home、home with home care、IPR、SNF、などの中からもっともふさわしい行き先をrecommendする。神経内科の主治医は、この判断を基本的に尊重し、それを覆そうとしたり、独自に判断したりすることはまずない。正直、主治医とリハビリチームのcommunicationは疎である。もっと密であるべきと思う。