言葉についたイメージのことをconnotationというが、それでふとweaningという言葉を思い出した。これは本来「赤ちゃんを乳離れさせる」という意味だが、集中治療では「人工呼吸器から離脱させる」という意味で用いられる。しかし私が一緒に働いたある集中治療医はこの言葉が大嫌いであった。weaningというと、人工呼吸器サポートを受けている状態があたかもお母さんの愛にはぐくまれ乳を吸いながら過ごしている赤ちゃんのごとく快適なように聞こえると彼は言う。実際には人工呼吸器につながれた状態は苦しく、鎮静・鎮痛剤を大量に必要とし、肺炎・じょく創の元になる。患者さんをこんな状況に安住させてはいけないのである。だから一刻も早く挿管を必要とするに至ったプロセスを取り除いて患者さんを人工呼吸器から解放しなければならないという意味で、彼は"liberate from ventilator"という言葉を使っていた。それ以来私も彼の考えに同意して、weaningという語は使わなくなった。