外来の医師控室にNew England Journal of Medicineの記事があり、先週号のClinical problem-solvingだった。ぜんそくの既往のある若い女性が、上気道感染を機に数カ月の経過で増悪する呼吸苦をきたしたというストーリー。喘息に似た疾患(間質性肺疾患、Churg-Strauss、ABPAなど)を考えていたら、CTで"crazy-pavement pattern"が見られpulmonary alveolar proteinosis(PAP)の診断に至った。
抗GM-CSF抗体のtiterが高く、GM-CSF注射を行い良くなったという。この疾患はこちらに来てから何人か見たことがあるが、みな数カ月に一度の肺洗浄をされていた(肺を右も左も気管支鏡で丸洗いするという治療)。抗GM-CSF抗体については、これがあることでGM-CSFが中和されてマクロファージの増殖・活動が異常になるという病態機序が唱えられている。ただしGM-CSF治療については一定した評価を得るまで至っていない。
[2019年8月追記]上記のクレイジー・ペイヴメント・パターンは、もはやPAPだけの特徴ではなく、ARDS・心不全・肺炎など幅広い疾患で診られることが分かっている(米国胸部学会のサイトも参照)。