9/04/2011

art of writing notes

 先月後半に一緒に働いた指導医の先生は、まだキャリアは浅いけれどスタッフに抜擢されている。卒後7年目だから、私と3年しか違わないということか。それにしても思考は明晰で、話は論理的で、親しみやすい性格で恐れ入る。

 とくに、カルテの書き方を教えてくれたのは為になった。第一に、specificであれという。ただAKI(acute kidney injury)ではなく、non-oliguric AKI from ATN secondary to septic shockとか。主観的所見にしても、"Patient is feeling better"では話にならない。なにが良くなったのか、良くなったというのはどういうことなのか(程度がどれくらいからどれくらい改善したのか、回数が何回から何回に減ったのか、etc)、きちんと具体的に書けという。

 第二に、summarizeしろという。ESRD, from diabetic nephropathy, with preserved urine output, complicated by ...という風に短い言葉をつなげろと。また診断がついているならグダグダと症状やら検査所見やら並べずともよい。たとえばportal hypertensionと書けば、おなかが張っているだの浮腫だの静脈瘤だの書かなくてもよい。

 第三には、問題点を立てたら系統的に思考過程を叙述せよという。系統的とは、type、etiology、severity、progression、intervention、response、plan、prognosis、の順。またそれぞれ書いたことには根拠をつけないと、読んだ人がなぜあなたがそう考えるのか分からないだろうという。ATNというなら尿沈渣のgranular castとか、hypervolemiaというなら浮腫や頚静脈努張、RAP/PCWPの上昇など根拠をかけと。

 こういうことは、日本にいた時から大事だと意識していたし、自分なりに心がけて来た。だから改めて指摘されると「それぐらい分かっとるわ」とも感じた。でも毎日10人分以上のカルテを書くので、ついおざなりにしていた面もあった。彼の「人間なんてみんなjudgmentalで、あなたの能力は結局あなたの書いたことによってのみ判断される(のだからカルテのアートを見に付けよう)」という言葉が印象に残っている。