12/08/2012

Charles Joseph Minard

 私がアカデミックな職場にいたい一つの理由は、いろいろ学べるからだ。たとえば今日は仕事中にCharles Joseph Minardの話になった。彼は18-19世紀フランスのcivil engineerで、infographic分野の先人だ。彼が作ったグラフィックでもっとも有名なのは"Carte figurative des pertes successives en hommes de l'Armée Française dans la campagne de Russie 1812-1813"、Napoleonが1812年に行ったモスクワ遠征についてのフローマップだ。

 これはポーランド・ロシア国境から東征するNapoleon軍の勢力がモスクワに向かうにつれ漸減する様子を地図上に帯状ラインで示し、さらに退却するときのグラフは勢力減少のみならずその過程における気温もグラフで同時に対応させて表示している。見れば分かるが、とても手書きとは思えない精巧さだ。




 どうしてこの話になったか?指導医と私は免疫抑制の話をしていたのだ。私は免疫抑制の程度は、拒絶-感染症という全か無か(点=一次元)ではなく、それぞれを極にした線上(二次元)でどこに位置するかプロットできればと思っていた。そして指導医は、さらに三次元、n次元について考えていた。で、それらを表示する方法としてMinardの話になったというわけ。

Nostalgic professionalism

 今週のJAMAに、"Professionalism in the Era of Duty Hours"(JAMA 2012 308 2195)というコラムが載った。これは「いくら勤務時間ルールを変えても、患者さんを継続して診たいという研修医の情熱を消せはしない(old values do not simply die in a new system)」という話だ。

 で、何が起こるかというと研修医が勤務時間をunder-reportするようになる。これはいくらACGMEが厳禁しても横行している(たとえばMilbank Q 2010 88 350)。家に帰ってからもカルテを読む、書く、データをチェックするなど「仕事」は続く。

 患者さんを継続して診たいというのはnostalgic professionalismだが、嘘をつくのはprofessionalismに反する。同じように、患者さんが気がかりな余り体調が悪くても休まない(専門用語でpresenteeismという)のもprofessionalismに反する。

 どうやって研修医の患者さんを思う情熱を、(やはり患者さんを医療ミスから守るために作られた)新しいシステムに適合させられるか。著者達は警察官、パイロット、看護師など高い専門性と職業倫理を要求されるが、同時にシフトを守って働いている他業種にヒントがあるかもという。

12/07/2012

Ethics round

 今日はACGME requirementのひとつを内科全科フェローで話し合うワークショップがあり、テーマはethics。主にfutilityの話とgoal of careの話をした。Futilityを計る要素は三つ、①Goalが満たせるか、②質が満たせるか、③Goalを満たす可能性はどれくらいあるか(量)。資源の有効活用、コストなどは入らない。Goal of careは六つのレベルがあり、CLFCLFという。すなわち①Cure、②Live longer、③Function、④Comfort、⑤Life goal、⑥(provide support for) Family。Ethics roundというだけあって具体的な症例を元に話をしたので実践的だった。