患者さんのプライバシーを守るのが難しい環境というのは、ある。たとえば病室に複数の患者さんがいるとき。また、隣のベッドにも患者さんが横になっている透析クリニック。隣の人に聞こえないようにするにはどうすればいいか?
声のトーンとボリュームを落とすこと。半年くらい前、患者さんに「先生の声が大きいから、頭が痛い…」といわれるまで気づかなかったのは反省だ。でもそれからは、心得ている。耳が遠い人には、耳元で話すようにしている。
落ち着いた、ゆっくりした、堅実な口調。それには、癒しの効果と説得力があると感じる。パブリック・スピーキングの基本だ。触れる手、選ぶ言葉、みつめる眼差しも、治療の一部。やり方次第で侵襲的にもなるから、使いようだ。