9/19/2019

局麻するときは

 恥ずかしながら今まで、皮膚を局所麻酔するとき、「自分は麻酔によって痛みをとるという良いことをしているのであり、針を刺す痛みと麻酔の液が広がる痛みくらいは、仕方ない(我慢してください)」と思いがちだった。

 しかし、隣人愛の精神からも、ヒポクラテスの"do no harm"の精神からも、こうした痛みを最小限にする努力を怠ってはならない。そんなわけで、筆者も師匠から「神経終末が通っている層に針をいれろ」「液の注入はゆっくりと」「針を複数挿入するときにはすでに麻酔された個所から」などの教えを受けた。

 さらに、皮膚科や形成外科の雑誌には、「リドカインのpHを7に近く」「液をあたためる」「刺入角度を垂直に」などの研究報告がたくさんあるようだ(Plast Reconstr Surg 2013 132 675など)。

 最近は、とくに「ゆっくりと」の効果を実感している。同様に、抜糸する際にも、糸を「ゆっくりと」引き抜いたほうが痛みが少ないようだ。時間を掛けるべきときには、時間をかけようということか。