4/04/2009

I will survive

 はじめてのICU当直だった。朝6時から働いているので、がんばっても夜10時くらいに眠くなる。ちょうどその時間帯にはコールの頻度も増えて「あれもしなければ、これもしなければならないのに」という気持ちが起こってくるせいもある。カフェテリアでティーバッグ2個で淹れた500ml程度の熱い紅茶にミルクをたくさんいれてがぶ飲みし、禁断のケーキを食べたら目覚めた。ちょうどほかのserviceで当直をしている先輩や同期がいて、話もできた。

 私がいるのはmedical ICU(MICU、ミックユー)だが、重症度は日本の病院でいうHCU(高度治療室)に近い。pulmonary and critical care(呼吸器+重症管理)の管轄なので、ほとんどの患者さんは人工呼吸管理をうけている。術後の重症患者さんはsurgical ICU、脳外科・重症な脳神経系の患者さんはneuro ICU、外傷の重症患者はtrauma ICU、心臓関係の重症患者さんはCCU(coronary care unit)に入る。

 私は日本の病院にいたころHCUで働くのが好きであった。だから今度の当直でも、血圧低下、呼吸不全、尿量低下などの問題にとりくみ対応するのは楽しい。何が起きているかを把握するためのパラメーター、モダリティがたくさんあり、対応の結果がすぐにかえってくる。内科外来でじっくりと長期的な血糖管理や血圧管理をするのは、未だになかなか難しい。

 新入院が5人、そしてMICU管轄の30人あまりの患者さんについてカバーするのでとても眠れない。それでも朝5時ころいったんダウンして当直室で20分くらいベッドに横になると回復する。朝ごはんを食べ、自分の患者さんを診察して8時半の回診に備える。回診では私の患者さんを先にまわってくれる(はやく自分の仕事をすませて帰れるように)ので、まず新しい患者さんについてチームの前で詳しくプレゼンテーションして、前からいる患者さんについては大まかにプレゼンテーションし、それぞれ方針を確認する。

 私のプレゼンテーションは圧倒的に言葉の数がnativeの先生に比べて少ないし、ゆっくりである。でも自信をもって大きな声ではっきりと話すようにしている。ほかの人が自分の症例について何が起きているかをわかってくれることが目的なのだから、かえって早口や小さな声で話すよりよいだろうと思っている。ICUで求められるシステム(神経、循環、呼吸、消化器など)別のプレゼンテーションはまだ慣れないが、いまのところ何とかやっている。

 仕事を済ませ、12時には何とか病院を後にする。運転には十分に気をつけて帰宅し、シャワーを浴びて昼食を食べるとベッドに入る。明日も朝から早いので、少しでも寝ておかなければ。それでも、眠りにつこうと手に取った本、William Jamesの『プラグマティズム』の巻末解説が面白くて少し読んでしまった。肝心の本章部分はまだ難しくて読めていないのであるが、解説をよんで大きくアイデアをつかんだ気がするのでまた読もう。