ICU勤務がはじまった。今のところ、患者さんの数、不安定度ともにまずまずである。なかには重症な患者さんもいるが、その場を離れられない急変場面には幸いにして出会っていない。重症な患者の家族に接するときには、話の終り方が難しくてなかなか病室を去りがたい。
1人の患者さんは、肝硬変で移植待ちなのだが、移植のリストに載るためには「この人は移植が必要な程度の状態です」というのを示さなければならない。MELDスコア(model for end-stage liver disease)というのがそれで、肝機能に関する各検査データを集計して数字化する。
この患者さんはスコアの数字が高いのでリストの上位に載っているのだが、それでも前に何人かいるようでなかなか移植にならない。悪いことは、まっている間にこのスコアを高く保たなければならない。スコアが下がると、移植リストから外れる可能性があるのだという。
肝機能が低下して黄疸がひどくなっても、血液が固まりにくくなっても、それを(必要に迫られない限りは)修正してはダメだという。ちょっと理解に苦しむし、患者さんの配偶者に説明するときにも、「なぜそうなの?」と自問自答している。移植の背景や仕組みを調べる必要がある。