10/05/2012

Teaching Portfolio

 FACE Program(Fellows As Clinician Educators)が始まった。2001年に総合内科で小さく始まったのが、2003年には全専門内科に受講資格を拡大し、これまでに100人近いフェロー(チーフレジデントも含む)が課程を修了している(J Grad Med Educ 2011 3 302)。第一課は、Self-AssessmentとTeaching Portfolio(TP)についてだった。
 Self-Assessmentでは、誰を対象に、どんな設定での教育を考えているのか、それらについて自分の強みと改善すべきところを書きだした。学習者が正答にたどりつくまで我慢強く導く、聴衆の注意を維持する、レベルの違う学習者がいても教えられる、教育の方法論など、各々がいろんな改善点を口にした。
 そして、TPを作ることになった。ポートフォリオ自体は、日本でも研修医教育に取り入れられいる。「自分を見つめて、長所を伸ばし短所を改善する」というのは同じだが、TPの目的は一に仕事を得ること、二に昇進することだ。面接で"Are you a good teacher?"と問われれば誰もイエスと答える。TPは、さらに"How would I know?"と問われたときに用意しておく武器なのだ(Acad Emerg Med 2004 11 307)。
 TPがないとどうなるか。教育は研究のようにグラントやpublicationのように客観的に業績を示しにくい。CVでは、回診・講義・スモールグループ学習に割かれた時間を記載するのが普通だが、これは量は測れても質は測れない。それで、大学病院のような場所でEducator Trackのポジションを維持するのはClinician Track、Physician Scientistと比べて困難だった。
 TPには、教育の哲学、カリキュラム作成、教育スキル、学習者の評価能力、学習者へのアドバイス能力、学会発表/論文発表、研修委員会など組織への加入、教育者としての生涯教育、教育者としての賞、将来の野望などが含まれる。内容を研ぎ澄まし、「ほうこれは」と思わせること満載にしてA4に5-6枚に収めることが目標だ。
 というわけで、私の教育哲学を明らかにするべく、いくつもの質問に答え、自分のこれまでの教育経験を振り返り、ローテーションやレクチャに対する評価を読み直している。ただ「教えるのが好き」では、甘い(仕事は来ない)。最初にこれをやらないと、何が自分に必要で、何を努力すればいいのかも見えてこない。じっくりやってみよう。