11/20/2013

コンサルタント

 Malcom Gladwellが書いた"Outliers"(2008年)に、大韓航空801便の墜落事故とコロンビアのAvianca52便の墜落事故の話が出てくる。心理学者によるブラックボックスの分析などで、どちらの事故も「(とくに目上の人に)はっきり意見を主張できない文化的背景」が原因と考えられた。
 前者では「視界が不良なので目を頼らずレーダーを見てください、危険が迫っています」と言えない技術者が「機長、レーダーがよく働いてくれています」とほのめかす発言をし、後者でも管制塔に「私達にはあと一回着陸を試みる分の燃料しかありません」といえない副機長が「あのー、燃料が切れかけているようです」と遠まわしに言った。
 もちろん飛行機事故というのは小さなトラブルが6-7個重ならないと起こらないようになっているので、これが原因の全てというわけではない。しかし、実際に大韓航空がデルタ航空からDavid Greenergを改革に招いて共通語を英語にし、機内でもどこの管制塔にも忌憚なく意見が言えるようにスタッフを再教育してから事故はなくなった。
 私は米国腎臓内科でコンサルタントだった。コンサルタントは主科のやってきたことを見直して改善点をアドバイスするのが仕事だから、主科の気持ち的な部分にも配慮してうまいことcommunicateする術を学べた。日本でそれを苦手に感じる人達が多いのも無理はないが、文化に配慮しながらそういう人達をサポートしてあげたい。ひいてはそれが患者さんのためだから。