4/28/2015

気持ちが萎える薬屋さんの説明

 餅は餅屋、薬は薬屋といいたいところだが薬を処方するのは医師だ。だから各社が各病院に担当者を配置して自社商品の優位性を伝えさせる。お薬屋さんの商品プレゼンは、パワーポイントもお金と時間を掛けてプロが作るのでそれはそれは出来がいい。最近はテレビ番組みたいな動画もついている。多額の研究費用と長い年月を掛けて作った新薬だから利益を回収しなければならない、薬屋さんからしたら当然のことだ。

 私もレクチャなり講演なりでパワーポイントをたくさん作ってきたが、あの完成度には敵わないなと思ってしまう。というか「もう綺麗に凝って作るのはやめだ(下の絵みたいなのはさすがに作ったことないけど、自分なりの美意識はあった)」という気持ちになる。うまい弁当を食わされても気持ちが萎えるばかりだ。内容なんてどうでもいい、どうせ「この矛はどんな盾も突き通す」とか言っているんだろう?と思ってしまう。

 そもそも米国にはない習慣なので、COI的にどうなのか?と、帰国したばかりの前の職場では罪悪感いっぱいで説明に参加してたいてい途中で退席していた。いまの職場では薬屋さんの説明が前座になっているので退席できない。

 それはさておき、今後パワーポイントを作る機会が来たらどうしよう。パワーポイント使うのはもうやめようかな。でもまあそういうわけにも行かないから、内容があってシンプルで洗練されたものにしようかと思う。しかしそうしようにも、薬屋さんがやっている論文を無料で読めるサービスに登録しなければ論文へのアクセスすらままならない(自分が入っている学会の雑誌は読めるけど)。薬屋さんに支配されているように感じる。

 それなのに各病院に配置された薬屋さんの担当の方々は恭しく接してくれるので、医師達はそう感じないように巧妙に操られている。本来なら医師が薬屋さんの担当者に「薬屋さんあっての医療でございます、いい薬を作ってくださり有難うございます」と言うべきなのだろうか。まあそんなこと気にしていたらやっていけない。流れにまかせて生きていこう。