外来、小さな教育的clinical pearlも見つかった。それは、外来受診前に患者さんが書く質問票を鵜呑みにしないということだ。
忙しい外来で質問票がたいへん役に立つことは言うまでもない。しかし、患者さんがすべて正直に書くとは限らないことを知るべきだった。私が担当した患者さんは、私が現病歴をあらかたきいたあと一通り既往歴、内服などと尋ねようとすると「そこに書いてあるでしょ」と言った。確かにかいてある。
それで、相手に迎合するような形で「飲んでる薬はないんですね」「タバコはすわないんですね」と軽い確認をしてしまい、患者さんも「そう」と答えた。でも血液検査で多血症が見つかり、まず「タバコ吸いますっけ?」と聴いたら、「吸わない」にチェックされた質問票にちらりと目をやり申し訳なさそうに
「すいません、嘘書きました」
と言った。