外来で一番気づくのは、手厚さである。受付し、roomingと言って部屋に案内され、フィジシャン・アシスタントがバイタルサインなどをチェックし、看護師がくる。看護師がさまざまな病歴を確認し、生活のさまざまな点にも耳を傾け、尿量・飲水量・薬の残り数などにまで目を配る。
さらに、その報告を受けた医師(フェローがいればまずフェロー)が、血液検査データや診断・治療などを踏まえたより専門的な観点から話を聴き、さらにこまごまな点までもaddress(なるほどそうですか、それについてはこう思います、などと取り合う)してゆく。また、患者の心理的な側面についてもフォローする。
そのうえで、決まった方針を医師が看護師に伝える。医師はオーダーし、看護師やソーシャルワーカーがフォローアップしてくれる(訪問リハビリをセットアップするとか、皮下注射を打つとか、創部のステープルを抜鈎するとか)。オーダーのないこと(透析施設に、患者が移植後に透析を離脱することになったと伝える、など)も、フォローしてくれる。
人件費と医療費と言ってしまえばそれまでだが、やはり私が大事だと思うのは「患者が診察室に案内され、そこに人々が入っていく仕組み」である。
ちょっとしたことだが、そもそも、医師に呼びだされるのと、医師やスタッフのほうから患者のところに行くのだけでも、印象はだいぶん違う。はやい話が、文字通り「患者中心」の動線になる。部屋に案内されれば、(たとえ待っても)患者にはプライバシーがある。
また、スタッフがワークルームに集まることで、コミュニケーションも生まれやすい。看護師Aと医師が話をしていたら、看護師Bが「その患者さんなら前回見たけどこうだった」などと知恵を分けてくれることもある。医師どうしでも相談できるから、とても心強い。レジデントやフェローなら、なおさらだろう。
(出典はこちら) |