日本と米国の間にはドラッグ・ロスがあるとよく言われる。例えば、IgA腎症において蛋白尿を減らすことが示された、ARB作用とエンドセリン拮抗作用を持つ薬Sparsentan(FILSPARI®)は、2023年に米国で承認されている。
新薬だけに、さまざまな財政的援助や、安全性についてのプログラム、そして患者一人一人に担当のnurse educatorがついてサポートする仕組みなど、手厚い体制で走り出している。また、担当医師にこの薬が向いているか聞いてみるためのアドバイスなどもある。
患者にしてみれば、「そんな薬があるならぜひ試してみたい」、「サポート体制があるなら安心だ」と思うことだろう。なおこの薬は7月18日に日本でも治験で患者に投与が開始されたという。発売元は違うが、米国のような手厚い体制がしかれるのか興味深い。
いっぽう、日本のほうが進んでいる薬も(びっくりしたが)ある。たとえば、鉄利用障害を改善することで貧血を治療するHIF-PH阻害薬は、米国でまず診る機会がない。移植外来では「何それ?」くらいの感じである。移植された腎臓が機能していれば必要ないはずの薬だから、透析外来や腎臓内科外来にならあるのかもしれない。
薬の話はキリがないが、おどろいたのはカリウム保持性利尿薬spironolactoneが、ざ瘡(ニキビ)に使われていることだ。ステロイドの誘導体であり、男性ホルモンの産生を抑制するため、女性のざ瘡や脱毛に用いられることがあるという(ただし、off-label)。2023年にBMJ誌から発表されたSAFA試験が根拠らしい。所変われば、である。
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