急性拒絶のリスクは黎明期には100%に近かったが、現在では10%程度である。以前は"steroid responsive"と"steroid non-responsive"に分けられていたが、現在では前者がT細胞関連拒絶(T-cell mediated rejection、TCMR)、後者が抗体関連拒絶(antibody mediated rejection、ABMR)に相当することが分かっている。
※このことは、ネフローゼが依然「ステロイド反応型」と「ステロイド不応型」に分けられていることと比較して興味深い。腎生検をしても、しなくても、結局まだ病態が完全に解明されていないので、治療効果で分類するしかない(たとえ「微小変化型」と言われても、ステロイドに不応だと「FSGSかもしれない」などとなる)。
移植時の拒絶リスクとして重要なのは、①DSA、②A/B/DRミスマッチ、③アフリカ系、④若年患者である。ただし、DSAはMFIや抗体価(希釈倍率)などにもより、MFIが3000以上だと12か月後の拒絶率が高かったという報告がある(AJT 2016 16 3458)。
移植後の拒絶リスクとして重要なのはタクロリムスの有無とトラフ値である。タクロリムスの非使用・低用量レジメンは腎毒性を改善するが拒絶リスクを高める。またタクロリムス濃度を低下させる原因として大切なのはアドヒアランスであり、若年患者ほどそのリスクが高いとされる。
拒絶を疑ったら、腎生検がゴールドスタンダードである。そして移植腎病理の診断は1990年代からBanffと決まっている。・・のであるが、全部一気に覚えようとすると挫折する。かといって、「じゃあ本でも一冊買って・・」などとやると、(よほど真面目な友人が抄読会でもしてくれない限りは)仕舞い込んでそのままになってしまう。
そんなわけで筆者もすべてを一気に知るつもりはないが、徐々に身近なところからまとめてみようと思う(参照はCJASN 2020 14 430)。Let's get your feet wet(いきなり泳ぐ・潜るのではなく、まずは足だけ水につけましょう、というイディオム)!
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