7/11/2024

Donor Eval

  ドナー志願者の評価は、腎機能測定、蛋白尿、血圧、血糖、各種感染症、腎形態評価(左右差、個数、器質的な異常)、心機能評価、心理的評価など実にさまざまな評価がおこなわれる。しかし、医師がまず診察室でする仕事はhistory and physical(詳細な病歴聴取と身体診察)である。少しユニークな点も挙げると:

・かかりつけ医、健康保険:どちらも持っていない場合がある。ドナー志願者としての受診はレシピエントの保険で賄われる場合もあるようだが、ドナーなったあとは健康チェックが必要になる(移植後2年は移植施設が診る)ため、かかりつけ医を持つ必要がある。

・生活歴:移植前後に世話をしてくれるサポートがあるかどうかを必ず聴取する。早ければ移植翌日には退院するが、術後はなにかと世話が必要なこともあるし、遠方で移植手術が行われる場合もある。

・家族歴:レシピエントが家族である場合、同じ病気がドナーにみられることもあるため、重要である。アフリカ系アメリカ人の場合は、APOL1遺伝子変異の検査について話し合う。リスク変異があるというだけでドナーを却下するわけではないようだが、リスクを知っておくことは大切だからだ。

 なお、万一ドナーが末期腎不全になった場合には、優先的に腎臓が移植できるようになっている。そういうことはまずないのであるが、事故や他の疾患などによって腎機能が低下することはあり得る。