外来カルテは医師ごとに異なるフォーマットが使われているが、どれも最初は下記の基礎情報が載っている。これらの情報を1から拾い集めるのは大変だが、さいわいカルテにまとめてある(個々のカルテ以外にも、これらを記載する欄がある)ので助かる。まだ数日なのですべてを把握しているわけではないが、チェックリスト代わりにここに書いておく。
・移植日:誕生日のようにわかりきっていると思いがちだが、腎移植が2回目以降な場合や、他臓器移植の後に腎移植を受ける場合もあるので、そこは注意しなければならない。
・原疾患:移植腎に再発することもあるため、腎生検の有無が透析患者などよりもより重視されている。
・UNOS ID/Match ID:照会したことはないが、かならず記載されているので、そういうものなのだろう。
・移植のタイプ:LRKT(living related kidney transplant)、LUKT(living unrelated、ABO不適合などを回避すスワップなど)、DDKT(deceased donor)など。DDKTの場合、KDPI、DBD(donation after brain death)またはDCD(donation after cardiac death)なども付記される。
・手術情報:WIT(warm ischemia time)、CIT(cold ischemia time)、腎グラフトの血管本数、外科医など。
・術後情報:入院日数の短い米国では、IGF(immediate graft function)であれば3-4日で退院するが、術後に透析を要するDGF(delayed graft function)の場合は、その限りではない。KDPIの高いグラフトを捨てずに移植する機運もあり、そうした入院は増えている。また、グラフト周囲のlymphocele(リンパ液の貯留)などでドレーンを挿入されたまま退院する例も多い。
・免疫学的リスク:cPRA、A/B/DR MM(mismatch)、DSA(donor-specific antibodies)など。
・CMV serostatus:D-/R-(ドナーとレシピエントがともに陰性)を低リスク、D+/R+またはD-/R+を中リスク、D+/R-を高リスクと呼ぶ。
・EBV serostatus:CMVと同様であるが、D+/R-はEBウイルス関連悪性腫瘍の発生リスクが高いことから特別に「mismatch」と呼ばれる。
・導入免疫抑制:Thymo(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン)、Basiliximabなど。
・維持免疫抑制:たいていPrednisone/MMF/Tacrolimusであるが、タクロリムスの腎毒性を低減するためにBelataceptも多用されるようになっている。その場合、タクロリムスのトラフ目標は少し下がる。
・一般腎臓内科医:元来は「移植前は外科医、移植後は腎臓内科医」の住み分けがあって、移植施設が末永く移植後のフォローを行っていた。しかし、移植件数が格段に増えたことや、移植前から腎臓内科医がかかわるようになったことから、1年・2年などの区切りでフォローを一般腎臓内科医に任せる(移植施設の受診は必要時とする)ようになった。