患者さんからこんな言葉を聞いたら、どうしますか。
「病院っていうのはこういうとこだとつくづく分かりました」
病院は医療サービスを提供する場であって、残念ながら健康を提供することを必ずしも保証していない。数日のつもりの検査入院で、あれやこれやと問題が(検査に関係あるものも、ないものもふくめ)おきて、入院が伸びたりすることもある。入院が伸びるだけで済まない事だって、ありえる。
冒頭の言葉は、一番は状況へのやりきれない気持ちの表出と考えられ、医療者を責めているわけでは必ずしもなかった。しかし、この言葉は同時に、医療者に直視したくない真実を突きつける。悪いことがおこらないように質を高める、それでも一定確率でおこるものは適切に対策できるようにしておく、などの重要性を改めて認識した。
病院っていうのは、そんなに安全なところじゃない。
でも、人と人が接する以上はせめて「癒しの家」にはなれるのかなと思う。冒頭の言葉を受け止め、その背景にあるやりきれなさを受け止め、できる最善の診療をしてせめて無事に帰ってもらえれば。そして、おたがい「大変でしたね」と苦笑して前に進めれば。