12/09/2018

数字を伝えるスキル

 健診で「肺年齢100歳」といわれてタバコをやめる人がいる。肺呼吸機能検査の一秒量(強制呼気で1秒に吐ける息の容量)は年齢と共に低下するので、喫煙に関連したCOPDで低下した場合に、それが何歳相当かを示したものだ。

 肺年齢であっても、「100歳」といわれると、ちびて今にも消えそうなロウソクがチカチカ灯っているように感じられるかもしれない。




 このように数字で警鐘を鳴らすのは、効果的でありうる。とくに「余命」はインパクトがあり、疫学統計を効果的につかえば行動変容につながるかもしれない(もっとも、あまりにも「なんとか年齢」が高すぎると諦める人がいるかもしれないが・・)。

 一方で、実感しづらい数字はインパクトに欠ける。糖尿病で「ヘモグロビンA1cが16%」といえば、即日入院してもいいほど不良な血糖コントロールだが、意外と「また来ます」と、そのまま帰ってしまったりする。

 数字で人を動かすのに最も長けているのが、商売だ。ちょっと広告をみても「医師の94%が薦めたい商品」「なぜGTPが300から50に?」などの数字に溢れている。それで、けっこうな人々が心を動かされる。

 数字をどう伝えるか。写真のように何かを売り込むわけではない医療者にとっても、大事なスキルだ。