これは、下図のように辺cを伸ばしていったときに、辺aの長さがどのように変化するかを表した式だ。自明ながら、図の黄色線のところでaは最短となる(1/√2)。またcがゼロに近づけばaは1に近づき、cが大きくなるほどaはcとほぼ等しくなることが、図からも確かめられよう。
逆に言えば、aはゼロにはならない。それは、上記の二次方程式が虚数解を持つからだ。
でも、逆に言えば、cが虚数解のときには、aはゼロになる。これを可視化できないかと思ったら、検索でわりと簡単に方法がみつかった。ふたつの複素数平面でつくられる空間で、表現すればよいそうだ。
まず、上記の二次関数は、以下のようなグラフになる。
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そこに、新しく虚数軸を導入する。
青線グラフの真下には、実数平面と直交し虚数軸に平行な別の平面上に、幻のような赤線のグラフが浮かび上がる。そして赤線グラフ上にあるどの点も、青線グラフとおなじく二次関数を満たす。
そして、赤のグラフがy=0の複素平面と交わる二点こそが、上記二次方程式の虚数解となる(緑矢印で図示)。
ここまでたどり着いた時、筆者は1年ぶりに「ああ、生きててよかったなあ」と思った(前回はこちら)。世界は、広い。余談だが、1年前知ったヴィエトの公式で知られるヴィエトは、なんと16世紀に余弦定理を独自に発見したらしい。