10/07/2024

多臓器移植と単独腎移植

 質の高い腎臓が優先的に心腎・肝腎・膵腎・肺腎移植に提供されるルールについては以前紹介した。それについての論文(AJT 2021 21 2161)。腎臓は二つあるので、一つが多臓器移植(multi-organ transplant、MOT)に提供されても、もう一つは腎臓単独移植(kidney along transplant、KAT)に提供される。

 そこで、MOTをうけた患者、mate kidneyを移植されたKAT・SPK(simultaneous pancreas/kidney)患者、MOTに優先されなければその腎臓を受け取っていたであろうnext-sequential KAT candidatesを同定し比較した。

 すると、next-sequential KAT candidatesはMOTを受けた患者より若く、マイノリティの割合が高く、高度感作の割合が高く、28%が移植待ちリストから外れるか死亡するかであった。Mate kidneyを提供されたKAT・SPK患者群に比べても、死亡率が有意に高かった(ハザード比1.55、95%CI 1.44-1.66)。

 腎臓内科医としては複雑であるが、腎臓を含む多臓器移植の成績が、腎臓を含まない心・肝・肺移植の成績にくらべてよいことも確かである。OPTN/UNOSが決めたルールに基づき、コミュニケーションを取りながら診療し、データを積み重ねてルールを定期的に見直すことになるのだろう。