肝移植については、以前MELD 3.0を紹介したが、他にexception pointsという特例があり、代表的な例は肝細胞癌である。また、HRSのAKIによるCr 2.0と、CKDによるCr 2.0では当然死亡率も違う(Crの変動幅による死亡率の違いを示した論文に、Hepatology 2022 76 1069など)。昨年、肝移植のNEJMレビューがでた(NEJM 2023 389 1888)。
心移植については、レシピエント選択基準とマネジメントについての国際心肺移植学会ガイドラインが2024年にでた(J Heart Lung Transplant 2024 43 1529)。HeartMate3の3年生存率が移植と同等という報告(ただし入院は多い、doi:10.1016/j.jtcvs.2023.12.019)、循環死(circulatory death)後に体外循環を用いた心移植(NEJM 2023 388 2121)の成績が、標準的な氷の保存を行った脳死後の心移植に比べて6ヵ月後の生存において非劣性だった報告※などが話題だった。
※昨年、前の職場で研修医を対象にしたJournal Clubで取り上げた論文だった。
なお、透析がないのでDGFとは言わず、ドナー由来の機能不全をPGD(primary graft dysfunction)という。
肺移植については、年間3000例程度おこなわれ、3年の生存率は72%という。こちらもグラフト機能不全はCLAD(chronic lung allograft dysfunction)と総称され、BOS(bronchiolitis obliterans syndrome)とRAS(restrictive allograft syndrome)に分けられる。
Cystic fibrosisに対する分子標的治療(Trikafta®、Symdeko®、Orkambi®、Kalydeco®など)が始まって肺移植が減り、割り当てルールが変更されてILDによる移植がCOPDを抜いて1位になった。
肺移植は、他臓器に先駆けてCAS(composite allocation score)というスコアを用いている。さまざまな要素を下図のように重み付けして患者ごとのスコアを算出して割り当てに用いるもので、他臓器への応用が待たれる。
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