10/08/2024

虚血のない移植

  虚血後再灌流が問題なら、いっそ虚血も再灌流もない移植はできないか?というわけで、臓器を摘出する前から機械潅流につなぎ、血液が流れ続けるようにしておけば、原理的には可能である。肝移植では確立しつつあり、中国で行われたIFLT-DBD試験で通常の肝移植に比べて術後のグラフト機能不全や各種合併症が有意に少なかった(J Hepatol 2023 79 394)。

(出典はJ Hepatol 2023 79 394)
 実は腎臓でも行われており、2019年に発表された最初の報告によれば(Front Med Lausanne 2019 6 276)、術後は当然透析も要せず、経過は良好であったという。潅流のため大動脈・大静脈が残ること、(潅流液の一部として白血球を除去した)輸血を必要とすることはデメリットだが、原理的には可能ということだろう。なお、ex vivoの潅流中にも腎グラフトは尿を作り続ける。

(出典はFront Med Lausanne 2019 6 276)