10/08/2024

Epitopes and Paratopes

 HLAの話は遺伝学と免疫学が交差して複雑な上、色んな概念が抽象的に説明されることがおおく理解しにくい。そのため何度も何度もrevisitして多面的に理解しようとしているのだが、今回エピトープに相補的なパラトープという言葉を習った。

 抗体にはH鎖とL鎖に3つずつ相補性決定領域(complementarity-determining region CDR)があり、6つ合わせて抗原受容体を形成する。そして、1つのIgG分子には二つの抗原受容体がある。

(出典はWikipedia)

 CDR6個による約50アミノ酸残基、650-900平方オングストロームの領域のなかに、抗原と直接結合する部分がいくつかある。平均すると20アミノ酸残基くらいで、CDRとオーバーラップするが同じではない(下図では、CDR L2が抗原と結合していない)。これが、パラトープである。

(出典はPediatr Nephrol 2017 32 1861)
 パラトープが認識する15-22のアミノ酸残基からなる領域をエピトープと呼び、その中心にある2-5アミノ残基(半径3オングストローム)の領域をエプレットと呼ぶ。

 エピトープはHLA分子間で共有されうるので、たとえばDQ〇〇に対するde novo DSAができると、その抗体はエピトープを共有する他のDQや、DRなど他の座にあるHLA分子に対しても結合するため、cPRAが高くなる。

 なお、抗体のパラトープが認識しているエピトープはB細胞エピトープである。それに対して、T細胞のTCRがMHCに提示された抗原を認識する際の認識部位は、T細胞エピトープと呼ばれ、両者は別物である。