10/08/2024

臓器提供時のさまざまな考慮点

  臓器がprocureされた後で、そのオファーを受けるかどうかの決断は、移植外科がしている施設が多いが、移植内科にとっても大問題である。また、外科で困ったときに内科が相談を受けることもあるので、内科医も経験(知識もさることながら、場数を踏むことで得られるニュアンス)を積んでおかなければならない。

・動脈の石灰化(プラーク)→喫煙歴を確認。

・CVA(脳血管障害)→高血圧など、心血管系リスクを示唆。

・腎生検→凍結標本、必ずしも腎病理医が読むとは限らないなど、限界が多い。皮質壊死(cortical necrosis)の除外には使える。

・ドナーとレシピエントのサイズ・ミスマッチを考慮する必要あり。

・高リスク腎なら、out-of-sequenceで自施設で待つより高齢なレシピエントへの移植も考慮。

・高リスク腎なら、二個移植(dual kidney)も検討。

・感染症例では、免疫関連腎症も考慮し、できれば尿検査データを入手したい。とくに、terminal Crが徐々に上昇しているような場合。

・糖尿病例でも、ドナーの糖尿病性腎症を考慮し、やはり尿検査データを入手したい。

・若いレシピエントなら、できることなら少しでもHLAを合わせたい。

・高齢レシピエントなら、生命予後がどれくらい改善できるかと、周術期リスクにどれくらい耐えられるかを考える。生体ドナーのみを受け入れる選択もあり(DGFリスクが低く、緊急ではなく計画的にリスクを最適化してから手術できる)。

・生体ドナーと年齢差があり過ぎる場合、paired exchangeも考慮。

・HIV治療例であれば、できればタクロリムスとの薬剤相互作用を起こさないレジメンに変更を依頼(タクロリムスが0.5mg1週間ごと、といった極端な用量になると、管理が難しくなるため)。

・レシピエントのBMIが高いのも問題だが、低いのも問題。

・心肺蘇生の長さにも注目。