10/08/2024

DAMPs

 移植直後に程度の差はあれ避けられないのが、虚血後再灌流傷害(ischemia reperfusion injury、IRI)である。要は細胞が少し壊れて、炎症や免疫反応の元になるのだが、この壊れた欠片を詳しく調べる、DAMPs(damage-associated molecular patterns)の研究が進んでいる。

 DAMPsは、病原体の破片が自然免疫(innate immunity)を惹起する仕組み、PAMPs(pathogen-associated molecular patterns)に類似した概念である。

(出典はJASN 2011 22 416)
 DAMPsといっても、要は細胞の欠片であるから、HMGB1、Vimentin、Hyaluronan、S100、尿酸結晶、DNA、ATP、HSPなどたくさんある。そして、それらを認識する受容体も、TLR、RAGE(advanced glycation end products受容体)、インフラマソームなどたくさんある。傷害初期のDAMPは炎症、後期のは修復に働くなど、理解が少しずつ進んでいるようだ。

(出典はFront Immunol 2021 12 611910)
 なかでもIL-33は、IL-1に類似し核内に存在するサイトカインで、type 2 immune responseに関連する。Type 2 immune responseは従来、寄生虫の除去やアレルギーなどを指すが、最近は組織修復にも関わることが分かっている。そして腎移植においては、IL-33がST2/IL-1RAcP受容体をもつTreg細胞などを介して慢性拒絶を抑制する可能性が示されている(Annu Rev Immunol 2022 40 15)。