肝移植待ち患者のスコアといえば2002年に始まったMELDであるが、当時はINR・総ビリルビン・クレアチニンの3項目であった。それが、2016年にMELD-Naに改訂され、さらに2023年にはMELD 3.0に改訂されていたことを知った。
MELD-Naは、血清ナトリウム値が加わり、低いほどスコアが高くなる。具体的には137との差で表され、たとえば130mEq/lなら7に係数をかけたスコアがつく。ただし、137以上であれば137を用い、125未満であれば125を用いる。
これにより移植を待っている間の死亡率は12%から6.7%に改善されたが、ビリルビン値があまり影響しないMASLD(代謝機能不全関連脂肪性肝疾患、NAFLDから改称された)、筋肉量が少なくクレアチニン値が上昇しにくい女性などに不公平との声が上がっていた。
そこでMELD 3.0は、クレアチニンによる最高スコアがつくカットオフ値を4mg/dlから3mg/dlとし、性別とアルブミンを新たに加え、クレアチニンとアルブミン、ナトリウムとビリルビンの重み付けを変更した。
たとえば、クレアチニン値が高くなるほど、アルブミン値が重要でなくなる。これにより「重症患者でHRSの除外・腹腔穿刺等にアルブミンを使いたいが、アルブミン値が上がってしまうとMELDスコアが下がってしまう」という悩みが軽くなった。
米国の移植統括機関UNOSの科学部門、SRTRの統計チームが開発したもので、これにより移植を待っている間の死亡率は6.7%から5.8%に改善したという。今後、腎機能をどう正確に評価するかなどが課題である。肝疾患患者でCrの信頼性が低いことはよく知られており、シスタチンCなどが用いられるようになるかもしれない。
なお、元祖MELDは本来、TIPSを行う際の死亡率予測に開発されたツールであり、その目的では今でも使われるという。※参考文献:Am J Gastroenterol 2024 00 1-4