献腎がOPO(organ procurement organization、イリノイ州ではGift of Hopeと呼ばれる)によってprocure(獲得)されると、臓器のallocation(割り当て)が始まる。最優先されるのは、心腎・肝腎・膵腎・肺腎などの同時移植待ちレシピエントである。
※そのようなアルゴリズムになっているが、きわめて質の良い腎臓が同時移植に優先されることが本当に公平なのかについては議論もある。心臓や肝臓を移植されたあと1年以内に腎移植も必要になった患者にも、優先的に腎臓が割り当てられる(safety net)。
その次に、腎臓単独移植待ちレシピエントの選定が行われ、レシピエントには透析年数、感作の程度(cPRA)、マッチ数(とくにDR)、などのポイントがあり、ポイント高い患者の施設から声を掛ける。
基本的には透析(ないし移植リストに載ってからの)期間1年が1ポイントであるが、たとえばcPRA 100%だと200ポイントで、事実上すべての献腎に対して1位になる。ただし、HLA適合ドナーに出会う確率は1万分の1以下である。そのため、脱感作療法でなんとか抗体価を許容範囲内まで下げ、適合ドナーに出会う確率を上げることになる。
こうしたランキングは、献腎の発生した病院から一定距離の範囲内で行われる(どこからも断られれば、その範囲を越えて受け入れ先を探すこともある)。そしてその範囲は、なぜか、半径250海里(nautical miles)と決まっている。
UNOSによれば、その理由は「臓器搬送が250海里以内なら陸路、250海里以上なら空路となるため」という。なお1海里は1.852kmと、1マイルの1.6kmより少し長い。よって250海里は463kmで、東京からだとだいたい大津、金沢、石巻くらいまでの距離である。
もっとも、それだけではなぜnautical mileかの説明にはならないが、Wikipediaによればnautical mileは元々地球の緯度1分(1度の1/60)に相当し、「海面上の長さや航海・航空距離などを表すのに便利」なのだという。なるほど。